アーカイブ: 文化・芸術批評
『タンホイザー』『トゥーランドット』2つのオペラ公演(2023.2)でのヒロイン像の解釈について。さらに、読み替え演出のことも考えてみた。。
本論は同月に行われた2つのオペラ公演の鑑賞記であるが、とりわけそこでヒロインをどのように解釈しているかという点で、過去の歴史的限定の中で作られた…
映画の引用における転位と忘却 ー アリーチェ・ロルヴァケル『幸福なラザロ』と『夏をゆく人々』(及びジャッキー・チェンの場合)
昔のイタリア映画は何を見ても、農村であれ都会であれ、貧しい人々がいた。ロッセリーニ、ヴィスコンティ、フェリーニ、オルミ、ベルトルッチ・・・これら…
『サウルの息子』(ネメシュ・ラースロー)と『バルタザールどこへ行く』(ロベール・ブレッソン)ー映画における見えるものと見えないもの
2015年のハンガリー映画『サウルの息子』(カンヌグランプリ、アカデミー外国語映画賞の二冠)を見たときの感想である。地味な映画なのに新宿の小さい…
バイロイトの宮廷劇場
バイロイトの優雅な街区 前回紹介したバイロイトの旧市街地の南西側、新旧の宮殿や官房(Kanzlei、日本で言えば藩庁)がある一帯から崖下に下りた…
バイロイトの旧市街と宮殿
バイロイトという地名 バイロイト市街地は、赤マイン川(Roter Main) — マイン川は上流で白マインと赤マインに別れる — とゼンデルバッ…
トーマス・マンとチューリッヒ(下)
トーマス・マンとユング マンがチューリヒ近郊で最初に居を構えたキュスナハトには、それ以前からユングが住んでいた。ボーデン湖畔の小さな町に生まれた…
トーマス・マンとチューリッヒ(中)
チューリヒと故郷リューベック チューリヒゆかりの偉人といえば誰よりもまずツヴィングリの名を挙げなければならないだろう。ツヴィングリはスイス東部の…
トーマス・マンとチューリッヒ(上)
トーマス・マンとスイス トーマス・マンはその生涯をスイスのチューリヒで終えた。それは晩年のマンがつよく願ったことだった。ナチス政権の成立とともに…
ベンヤミン/クレーの残響を聴きながら
進歩か破壊か?-「現代温泉旅館事情」「阿佐ヶ谷住宅のこと」のエピローグとして 2018年にこのサイトで、「現代温泉旅館事情」「阿佐ヶ谷住宅のこと…
ドイツの城下町バイロイト~ワーグナーの町というよりは~
これから何回かにわたって、ドイツの小都市バイロイトについて書こうと思う。 縁あって私はこの地を何回か訪ねた。とは言っても、私はワグネリアンではな…