作者アーカイブ: 髙山秀三
トーマス・マンとチューリッヒ(下)
トーマス・マンとユング マンがチューリヒ近郊で最初に居を構えたキュスナハトには、それ以前からユングが住んでいた。ボーデン湖畔の小さな町に生まれた…
トーマス・マンとチューリッヒ(中)
チューリヒと故郷リューベック チューリヒゆかりの偉人といえば誰よりもまずツヴィングリの名を挙げなければならないだろう。ツヴィングリはスイス東部の…
トーマス・マンとチューリッヒ(上)
トーマス・マンとスイス トーマス・マンはその生涯をスイスのチューリヒで終えた。それは晩年のマンがつよく願ったことだった。ナチス政権の成立とともに…
太宰治と佐渡 (下)
生活者になる決意 三十路に入ったこの頃の太宰にとって、生活者になるということは大きな主題だった。上京して以来、度重なる自殺未遂や薬物中毒、生家…
太宰治と佐渡 (中)
意外性の島、佐渡 さて、太宰と小説中の「私」は厳密にいえば区別しなければならないので、後者については「私」と書くことにするが、船上の「私」は酔…
太宰治と佐渡 (上)
旅が下手な旅人 旅の仕方には人となりがあからさまにあらわれるものである。太宰治もつくづくそう考えていたようで、その最晩年に書いた文章のなかで「…
ニーチェへの旅(1)— 国境の町バーゼル(下)
3. ブルクハルトやケラーとの関係 もっとも、バーゼルで暮らすあいだ、すべてにおいてニーチェが順調であったとはとうてい言えない。バーゼル大学で…
ニーチェへの旅(1)— 国境の町バーゼル(上)
はじめに 今は亡き著名人の足跡をたどることになぜか言い知れぬ愉悦を覚える私は、さまざまな場所にフラフラと足を運び、故人の面影を偲んできた。この…