作者アーカイブ: 木下直也
『タンホイザー』『トゥーランドット』2つのオペラ公演(2023.2)でのヒロイン像の解釈について。さらに、読み替え演出のことも考えてみた。。
本論は同月に行われた2つのオペラ公演の鑑賞記であるが、とりわけそこでヒロインをどのように解釈しているかという点で、過去の歴史的限定の中で作られた…
映画の引用における転位と忘却 ー アリーチェ・ロルヴァケル『幸福なラザロ』と『夏をゆく人々』(及びジャッキー・チェンの場合)
昔のイタリア映画は何を見ても、農村であれ都会であれ、貧しい人々がいた。ロッセリーニ、ヴィスコンティ、フェリーニ、オルミ、ベルトルッチ・・・これら…
『サウルの息子』(ネメシュ・ラースロー)と『バルタザールどこへ行く』(ロベール・ブレッソン)ー映画における見えるものと見えないもの
2015年のハンガリー映画『サウルの息子』(カンヌグランプリ、アカデミー外国語映画賞の二冠)を見たときの感想である。地味な映画なのに新宿の小さい…
ベンヤミン/クレーの残響を聴きながら
進歩か破壊か?-「現代温泉旅館事情」「阿佐ヶ谷住宅のこと」のエピローグとして 2018年にこのサイトで、「現代温泉旅館事情」「阿佐ヶ谷住宅のこと…
阿佐ヶ谷住宅のこと(下)-過去においてありえた未来を現在に重ねる
(承前) 画像(1)阿佐ヶ谷住宅で最後の花見(2011年4月撮影) 阿佐ヶ谷住宅のテラスハウスの設計に携わった一人、大高正人は「コモン」と呼ばれ…
阿佐ヶ谷住宅のこと(上)-団地における「私」と「公」を融合させる緑地「コモン」について
私は杉並区阿佐ヶ谷北に住んでいるが、青梅街道の南側(町名では成田東)の都立杉並高校と接するところに1958年に作られた阿佐ヶ谷住宅という広大な団…
現代温泉旅館事情(下)-落日を前に考えてみた
(承前) 湯河原の天野屋旅館、伊豆長岡の南山荘のような、消えてしまった、あるいは建物だけが廃墟のごとく残された、規模が大きく風格もあった木造の…
現代温泉旅館事情(上)-または、木造宿への愛について
私が地の恵みを受ける場所としての温泉、そこの地図に打たれたピンのような役割をもつ昔ながらの開放的な木造旅館に惹かれるのは、子供の頃はまだ一般的…